昔話なのに殺人事件?不思議すぎる一冊を読了
こんにちは~(^◇^)
今回は、以前からずっと気になっていて、やっとこの度手に取った
「むかしむかしあるところに、死体がありました。」を読んだ感想を書いていきます。
超有名タイトルでございますね。
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コミカルな表紙ですが、悲しい重めなお話が多めです。注意!
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作者は青柳碧人氏です。
青柳碧人氏の本を読むのは、私は初めてです。
発想の面白さと読みやすさで定評のあるミステリー作家さんのようです。
この本は短編集で、5編が収録されています。
改めて、短編集というのは短い時間で細切れで読めて読みやすいですね。良い文明。
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一寸法師の不在証明
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花咲か死者伝言
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つるの倒叙がえし
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密室竜宮城
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絶海の鬼ヶ島
誰もが知る日本昔話をベースにしながら、本格ミステリーとして成立させているのが最大の魅力です。
■そも昔話を本格ミステリーにという発想が面白いです
そも。使ってみたかった。そもそもそも。
さて本書の特徴は、とにかく設定の妙です。
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一寸法師が成長後に起こる事件。
一寸法師のお話は、鬼をやっつけて一寸法師が大きくなってめでたしめでたしですよね。
その後を書いているのが面白いです。
ちなみに語り部が一寸法師ではなく、モブなのも面白いところです。自分は人生の主人公ですが、他者から見たらモブなのは間違いないですから、私は感情移入がしやすかったです。おもろい。
殺害方法も意外性があって、このお話ならではで、すごく面白かった。
「鬼の体の出口はひとつではございませぬ!尻の穴があるではありませぬか」(P25より引用。)という衝撃の台詞が探偵側から飛び出す問題作でもあります。
少しギャグ調。ちょっとギャグ漫画日和を思い出します。 - 花咲かじいさんの残したダイイングメッセージ
これはですね~…ううーんと…。
花咲かじいさんは優しいおじいさんです。なので、ダイイングメッセージの残し方が特殊だったのですが、私は「それってエゴなんじゃないかな~優しいといえるのかな???」と感じました。
一寸法師はあんなに明るいギャグ調だったのに、最後は悲しい終わり方です。ここあたりからラストまで、暗い話が続きます。コミカルな表紙に騙された…! - つるの倒叙がえし
これは後述。本当に凄かったです。これを読むためにこの本を買うのだ。 -
龍宮城で起きる密室殺人
これもけっこう悲しい話でした。事件が未解決で終わります。浦島太郎が事件を解き明かしていくのですが、登場人物が滅茶苦茶多いのと、重要な設定というか仕様というかギミックが、けっこう後から明かされるので、読者が犯人を当てるのはかなりとても至難かと思います。それでもとても面白いので、犯人当てをぜひやってみてください。当てたら凄い! -
鬼が島での大量殺人
こちらも桃太郎ではなく、鬼視点で話が展開するのがとても面白かったです。
昔、桃太郎という男が、雉とサルと犬を連れて、鬼ヶ島を襲撃してきた。遺体には桃太郎や犬やサルや雉が付けたと思しき傷がついていて…!でも桃太郎は昔の人間だ、内部犯か、外部犯か、どっち??というハラハラ感があります。たまらん。
十角館を思い出しますねえ。結末も意外で面白かったです。そう来るか~。
…など、昔話を知っているほど楽しめる構造になっています。
読んでいると「なんて斬新な発想なんだ…!」と思うようなことが何度もあり、
童話の世界観とミステリーの論理性が絶妙~に融合しています。
思ったことが。ネタバレなので白塗りにしています。
全てのお話で、犯人が、原作では善であったキャラクターです。
ネタバレが気にならない方は、反転して見てみてください。これも面白いところですねぇ。
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■昔話の世界だから際立つ人間の欲
物語に登場する人々は基本的に素朴です。基本。
しかし、その中に欲深さや打算が入り込むことで事件が起こります。
ある意味でひとこわ話でもあるのですね。
一方で、
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花咲か爺さんの犬
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鶴の恩返しの鶴
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浦島太郎の亀
といった動物たちはむしろ優しく献身的。基本。基本ね。基本ですよ。原則。
私がこんなにしつこく「基本」「原則」と書く理由はとにかく読んでみてください。すごいので。
この対比はかなり印象的で、
「優しさに報いられない世界」というテーマも感じられました。
このように、単なるトリックだけでなく、物語として重厚で、余韻がしっかり残る点が良かったです。
■特に印象的だったつるの倒叙がえし
つるの倒叙がえし
個人的に一番のお気に入りはこちらです。
読み終わって評判を確認すると、やはりこの話が一番面白かった、という方が多いようです。やはり、と言う感じです。ぶっちぎりで面白いです。
「倒叙」という言葉を聞いて、
「古畑任三郎形式かな~?」と思って読み進めたのですが、
タイトルの意味が最後に分かって、見事にやられました。
本当に「つるの倒叙がえし」になっています。文字通りになっていて、本当に凄かったです。
このお話は2回読む必要があるお話なのですが、
(2回目犯人がわかった状態で読むとまた違った面白さ!ということではなくて、お話を全て読み終えるために2回読む必要があります。すごい仕掛け。天才。)
1回目に読むと意味のわからない部分も、2回目読むと「こういうことだったのか~」と思います。
短編とは思えない完成度です。
ネタバレになってしまうので白塗りにしますが、
「結局1週目で殺人は起こらなくて、ふすまの奥にはシシャモの人形が隠してあったということよね?
で、2週目で、1週目の主人公が、2週目の主人公に殺されていて、殺人があったんだよね?
1週目でももちろん殺人が起きた描写がばっちりあったけど、あれはどう解釈するのだ???殺していたじゃん!でも殺人は起こってないンゴ???」
このあたりがお分かりの方はご指摘ください。わかんないンゴ…。
■昔話の不思議なところを物語に昇華した作品
昔話を思い返すと、
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なぜそうなった?
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その後どうなる?
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登場人物の心理は?
といった疑問を抱いたことがある人も多いはずです。
昔話で、小さい子も読むものだから、変な展開になってもみんな納得して読んでいるのですよね。
本作はそうした、「リアルに考えてそんなことが起こるか?」といった昔話の変な所をミステリーとして、現実的に組みなおして埋めて、本当に納得できるところに落ち着けている作品とも思います。
二次創作的とも言えますが、
単なるパロディではなく論理的な推理小説として成立しています。
読みながら「原典をもう一度読みたくなる」体験ができました。
この小説を読んだ状態で、もう一度昔話を読んだら、きっと面白いと思います。
こんな人におすすめ
- 短編ミステリーが好き
- 発想系・設定系ミステリーが好き
- 日本昔話・童話が好き
- 読みやすくて満足度の高い本を探している
逆に向かない人
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重厚な長編ミステリーを求める人
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ハードボイルド系が好きな人(全編けっこう悲しい結末ではあります)
まとめ感想
読了後の率直な感想は、「アイデアの勝利!」。
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殺害方法やトリックなども、各昔話ならではです。設定が面白い。
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読みやすい
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ちゃんとミステリー
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余韻もある
短編集ながら満足度が高く、
読書習慣がない人でも一気読みできるタイプの作品でした。
昔話を知っている人ほど楽しめるので、
気になった方はぜひ読んでみてください。
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おすすめ記事はこちら~
今回はこのあたりで。
お読みいただきありがとうございました( ˘ω˘ )
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次はグリム童話とかも良いと思います。シリーズなので、沢山ありますね。
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