ゆるオタよもやま。

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任天堂・ポケモンの特許が拒絶!?海賊版動画で落ちた理由を現役知財員が解説

任天堂の特許拒絶査定はなぜ起きたか?ポケモンの海賊版動画と進歩性の関係をプロが解説


こんにちは~(^◇^)
 
普段、美味い物を食べそれをブログに記録しながら、現役の知財調査員として特許や商標の調査をしている者です!
 
…さて、突然ですが、数日前、ゲーム業界と特許業界を震撼させた、「ある拒絶査定」が話題になっていたのを、皆様はご存じでしょうか??
 
なんと、任天堂と株式会社ポケモンが出願したゲーム特許が、特許庁から「拒絶査定(特許にできません!という最終宣告みたいなものですね…!)」を下されました……!

news.yahoo.co.jp


しかもその理由が凄まじく、「YouTubeにあがっている海外の海賊版(ファンメイド)動画に似てるから」というものでした…。
 
「えっ、自社キャラを無断使用した違法な海賊版のせいで、本家の特許が取れないの!?」
「任天堂はどう反論したの?特許庁は冷たいの…?」という疑問をお持ちの、ゲーム好きの方!
 
私が大好きな任天堂のゲーム特許ですし、今回の件は、ぜひブログに取り上げたく。
現役知財調査員の視点から、興味深い任天堂と審査官のバトルを忖度なしでわかりやすく解説します~。

www.j-platpat.inpit.go.jp

↑くだんの特許はこちら!意見書、拒絶査定もこちらから見れます~。
 

※この記事は解説のみではなく、記事後半で、知財の仕事をしている筆者の「お気持ち」を記載しています。

 

【結論】任天堂・ポケモンの特許拒絶査定が話題になった理由

まず結論から言いますと、今回の事案(特願2026-019762)がこんなにも大騒ぎされている理由は次の3点です。
 

  •  海賊版(著作権侵害品)の動画を理由に、本家の特許が拒絶されたこと
  •  任天堂側の意見書が、普段のスマートな対応からは想像できないほど感情的だったこと
  • 特許庁が「海賊版だろうが世に出てれば公知!関係ナシ!」と冷徹に標準ルールを突っぱねたこと

 
現在、知財調査を主にやっている私ですが、少し前まで意見書も書いておりました。
なので、知財実務をやっていて、意見書も書いていた人間からすると、
「うわぁ……審査官は滅茶苦茶怒っているし、出願人もバチバチだぁ~…!!」と、
胃が痛くなりつつ、脂汗が出つつ、でも見ないといけないような気になる、物凄い内容となっています…!!
 


事案の概要|なぜ任天堂の特許は拒絶されたのか?

今回、任天堂とポケモン社が出した特許は「ゲームプログラム、ゲームシステム、ゲーム装置、およびゲーム処理方法」というものです。
 
スマホやゲーム機でキャラを動かす処理に関する内容のよう。
しかし、特許庁の審査官から「これ、進歩性(新しさや思いつきにくさ、というのがしっくりきます)がないから特許にできません!」とバッサリ切り捨てられてしまったんですね。
 

項目 詳細・内容
対象の出願 任天堂・ポケモン共同出願(特願2026-019762)
拒絶の条文 特許法第29条第2項(進歩性欠如)
特許庁が挙げた証拠 YouTubeのファンメイド動画(引用文献1:『Pokemon Generations』)+他社ゲームの周知技術(引用文献2〜8)


審査官の言い分は以下のような感じ。
 
「YouTubeにある『Pokemon Generations』っていう動画(引用文献1)と、従来のスマホゲームの仕組み(引用文献2〜8)を組み合わせたら、プロのゲーム開発者なら誰でも思いつくよね?」
 
……いやいや!
その『Pokemon Generations』のYouTube動画自体が、ポケモンの著作権を無視して作られた未完成の海外インディー動画なんですけど!?
…とブチ切れた任天堂。
 


任天堂・ポケモン側の反論|意見書で大激怒!?

これに対して、黙っていられないのが任天堂側でした。
提出した「意見書」で激しく反論を展開しました。

  1. 「それ、ただの海賊版(著作権侵害品)ですから!」
    審査官が「インディ開発者が作成したポケモンの3Dバージョン」と認定したことに対して、「いや侵害品だし!ピカチュウとか勝手に名乗ってるだけだし!『侵害するキャラクタ』って呼べよ!」と猛反論します。

  2. 「動画を見ただけでプログラムの中身なんて分かるわけないだろ!」
    YouTubeの動画なんて、表面上の映像が見えているだけなんだから、具体的なプログラム構造が開示されているとは言えないでしょ!という主張をします。

  3. 「後出しジャンケン(後知恵)で評価するな!」
    未完成でバグだらけの海賊版動画に周知技術を組み合わせるなんて、うちの特許を知った上で審査官が「後知恵」で言ってるだけでしょ!

私はTwitter(X)廃人でもあるのですが、
Twitter上では、この意見書を見た関係者からこんなリアルな声が飛び交っていました。
 
 「『正規品と海賊版の区別がつかないのに、技術的な認定はできない』といったような主張をしている」
「意見書については、お気持ちが発散していて主張が伝わらない内容となっている」
 
たしかに、任天堂法務部と言えば知財強者として有名ですから、
任天堂ほどの企業が「お気持ち」を隠しきれていない感じで主張しているのは、かなり激レアと思います……!
 

特許庁の冷酷なレスバ|反論をすべて却下した理由

特許庁の審査官は超冷徹でした。

拒絶査定通知書で任天堂の反論を完封します。

 

  • 「著作権侵害かどうかと、特許の進歩性は一切関係ありません」
    特許法には「違法動画だから公知技術から除外する」なんてルールはない。著作権侵害でも、世の中に公開されている以上、それは客観的な技術データです。
  • 「キャラ名を言い換えても論理は変わりません」
    ピカチュウと呼ぼうが「侵害キャラ」と呼ぼうが、画面上のオブジェクトの動きが客観的に確認できる以上、比較対象として十分使えます。
  • 「当業者(プロの開発チーム)なら簡単に作れます」
    周知技術を組み合わせるのは簡単でしょ、ということで進歩性をあっさり否定します。


元審査官の方もSNSでこんな投稿をしていました。
「こういった巷で話題になる拒絶査定を退職直前に書いてみたかった」
「『何おかしな主張をしているんだ!』という怒りをオブラートに包み、進歩性の有無について理知的に詰めていこうという意志を感じる」
 
うーん、審査官側の「感情を抑えてロジックで詰めるプロの執念」も凄まじいですが……!


現役知財員が考察|今回の騒動から学ぶべき教訓

現役で知財調査をやっている私の視点からですが、技術的な反論はもちろんガチガチに固めた上、申し訳程度に「海賊版を正規品であるかのように書かないでください」…と添えるくらいが、実務的にはスマートだったのかもしれません。


※先ほど貼ったヤフーニュースで解説をされていた栗原先生は、「『当該作品が著作権を侵害していないとの認識を出願人が有しているものではないことを付記する』といった書き方にとどめた方が良かったのではと思います」とされていました。なるほどね~。
 
栗原先生は、以下のようなお話もされていますね。

  • 社内のブランド管理部門(著作権チーム)からの強い突っ込み 公的な特許の記録に「ファンメイドの非公式ゲーム」が「ポケモンのゲーム」として残っちゃうのを社内的に許せなくて、「絶対に『著作権侵害品』だと記録に書け!」という社内方針が出ちゃった可能性。

  • 将来の海外訴訟(アメリカなど)へのリスクヘッジ 「任天堂はファンメイドの二次創作を黙認していたくせに、急にパルワールドだけ訴えるのはズルい(信義則違反)!」ってアメリカの裁判(陪審員裁判)で印象操作されるのを防ぐために、「ウチは非公式品を一切認めてませんよ」という証拠を公的記録に残したかった可能性。

 


今回の件から、個人開発者や企業が学ぶべき教訓は、
「自社IPの海賊版やファンメイド動画であっても、一度ネットに流出すれば自社の特許出願を阻む『最大の敵(公知技術)』になり得る」ということ。

著作権侵害でも、公知は公知、ということなのですね。
 
 

 

筆者の個人的な「お気持ち」|知財調査員として、一ゲームファンとして

知財の仕事に携わり、同時に任天堂のゲームを心から愛する一人として、今回の特許出願の背景にある「パルワールド」の存在についても、少しだけ触れておこうと思いました。

(※ちなみに、私はポケモンが大好きですが、パルワールド自体は一切プレイしたことがありません。パルワのゲーム体験はポケモンを凌駕するほど面白いらしい。やったらハマるかもしれないです。)

 

まず結論から言いますと、パルワールドを「ポケモンの著作権侵害」として法律で差し止めるのは、極めて難しいのが現実です。パルワは著作権侵害ではなくて、単なるパクリです。

 

 

私はポケモンファンですが、ポケモンファンの目から見れば、パルワールドに登場するキャラクター(パル)は、「ポケモンのシルエットや色、パーツの配置を、著作権侵害にならないレベルまで絶妙に変えている」…というように見えます。

 

これは、企業で知財をやっている、やっていた人間なら、誰もが一度は経験したことがある、あるあるの苦悩なのではと思っています。

 

私も以前の会社で、デザイナーさんから「他社のこの大ヒット商品みたいなデザインを出したい」と相談されたことが、しょっちゅうありました。滅茶苦茶やっていました。
その際、「この特徴的なパーツを変更して、ここの配色とラインを崩せば、意匠権にも不正競争防止法違反にも問われませんよ~」などといった、非侵害化の提案をした経験が滅茶苦茶あります。

 

法律に触れないようギリギリを攻める、というのは、企業の防衛や戦略としては、反則でもなんでもなく、アリでございます。


でも、モノづくりに関わる人間としては、正直あまり後味の良い仕事ではありませんでした。
(私が会社勤めを嫌になった無数にある理由の一つでもあります……笑 今でも非侵害化は、もちろんやるのですが、頻度が全く違うし、上司の目を気にせず言いたいこともいくらでも言えるので、あまり苦ではありません。もう会社勤めなんて絶対二度としたくないです!!笑)。

 

さて、私のお気持ちは置いておいて、パルワールドの公式サイトを見ると、

  • 「どこかで見覚えのある、強気な顔をした小柄なペンギン(ポッチャマ風)」

  • 「ジト目で2足歩行の、色違いのようなキツネ(ゾロア風)」

……といったキャラクターたちが並んでいます。

 

www.pocketpair.jp

 

これが、ポケモン好きな人からすると「オイオイ…」って感じなのよ…笑
特徴としてはハッキリとポケモンなのよ。

 

でも、「ここを変えれば法的にクリアできるよね!へへーん!悔しかったら文句言ってみな~!!」
…というポケットペアの意図、なんだったら悪意がハッキリ見えて取れますし、法的にクリアしただけだから、タッチや雰囲気に強烈な既視感が残るのだと思います。タッチはポケモンだから。しかし、「パクリだ」と言えても、法的には「著作権侵害」とは言えないのですね。

 

ちなみに、かつて登場した『デジモン』や『妖怪ウォッチ』がパクリと叩かれなかったのは、ポケモンのオマージュを感じさせつつも、世界観やキャラクターデザインのタッチが全く異なる完全オリジナルだったからですよね。

 

著作権では相手を裁けないという、法律の限界を知り尽くしているからこそ、任天堂が選んだのが「特許権による挟み撃ち」という切り札だったのかな、と、私は思います。そう言っていらっしゃる方も沢山いるものね。

 

さて、今回の拒絶査定において、任天堂の意見書は少々エモーショナル(感情的)に映ったかもしれません。
しかし、著作権で戦えず、ゲーム性も異なるから特許でも戦いにくい中で「自社の大切なIPと技術を守るために、任天堂が取れる選択肢はそれしかなかったのではないか」と、私は思ったりします。胸が締め付けられる思いがします。

 

今回の一連の任天堂のやり方を「パテントトロールだ」「邪悪だ」と言う方もいるのですが、なら、著作権侵害では戦えない、特許でも阻まれるなら、任天堂の知財担当者なら、この状況でどう戦えばよかったのでしょうか?


私はそう思います。
締まっていないですが、これで終わりにします。行く末を見守ることにします。

 

 

 

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 今回はこのあたりで。

お読みいただきありがとうございました!

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

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この記事の筆者は、現役の知財調査員として活動しています。 ココナラ等で評価★5.0(プラチナ実績)を獲得経験がございますが、当ブログから直接お問い合わせいただければ、手数料なしの特別価格で承ります!

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